赤児と緑児/木屋 亞万
 
ことにした

10月の終わりから
11月にかけて
羽根がまた赤く
色づき始めた
その横で僕は
読んでいた本を置き
一遍の詩を書き起こした

真っ赤っかに笑う赤児は
いつの間にやら緑児になって
青みをどんどん増していく
青年と呼ばれる頃に
芯から色を変えるような
鼓動に出会い、高揚する心
と、地に落ちるほどの苦しみ
恋をするときに人は
再び赤児になるのだけれど
生まれたときの赤とは、
違う赤だ
そしてまた、
緑になり青になり
赤くなるときを待つ
赤は僕らを死ぬほど苦しめ
生まれたときの迫力を
ふつふつと思い出させる
赤児と緑児を繰り返して
僕らは何度も成長をする



赤児と緑児が家に来て
部屋の空気がおいしくなった気がする
それに加えて赤児の首も少しずつ
伸びている気がする
相変わらずなのは風に乗る
生まれたてのプラスチックの香り
私の夏の風物詩だ

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