人を殺した詩/doon
 
 ある日詩人が思いついた詩
 人が殺せてしまう詩
 初めは共感が詩の本質と思っていたらしい
 共感されれば良い
 作られた詩はネット上に投稿された

 3日後
 人が死んだ
 その詩によって心の支えがぷっつりと切れた人
 特定の人達だけを指した詩に
 非難半分 賞賛半分
 詩人はそれ以上結果を見ることも無くなった
 見れるわけも無い
 詩が表現の域にあるのだと誤解した人にとって
 詩の向いている矛先も分からないのだ

 ただ単語を連ねただけでも詩にはなる
 比喩の中にも 抽象の中にも
 詩人は何一つ鋭く尖った言葉を使えなくなった
 それは水
 一生波紋の立た
[次のページ]
戻る   Point(1)