くるみ/
ふるる
カシッ
くるみの殻
秋の日差しのなか
乾いた破裂音
くるみの林
赤や橙に色づいて
かさかさ揺れているかな
ひと吹きでぱらぱらと
涙のようではなく
思い出のようでもなく
落ちてゆく葉
くるみの木の枝は
高くなる空へ
手を伸ばしては
あきらめる
秋の日差し
ため息
ケーキを焼こっかな
バターとくるみの焼けるいい匂い
背伸びしても
肩までしか届かなかった
なんでいないんだろう
なんでここでくるみを
割ってくれないんだろう
カシッ
て。
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