秋に詩を書く/寺岡純広
 
ずっと詩を書くのを忘れていた

春にも夏にも、恋にも旅情にもペンは動かなかった

そして、いま秋
胸の中は空虚なだけ
詩想などどこにもない

ただ心を文字で、何かで埋めないと
この自分、どうなってしまうか怖い

秋の雨は冷たく、
冬の予感に怯える
秋の夜長は眠れぬまま、ただ疲れを増す

だから、秋に詩を書く

心を静め、だんだんと安眠に入っていくために

もうしばらく生き、その証しとしていくために


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