私は石である。/佐々宝砂
 
腰のものを赤く染めて鳥が鳴く。
うぶめ、と呼ばれる鳥である。
産の穢れに死んだ女は鳥となる。
ほう、と鳴くが聞こえるか。

生まぬとしても女は女と男は言う。
うぶめの悲しみを知らぬは幸福と男は言う。
私は吐き気を覚えるがそれはもちろん悪阻でない。

  河原で石を拾った日があった。
  頁岩、石英、葡萄石、安山岩、かんらん石・・・
  私たちは石の美しさに感嘆した。
  石は何者も生まない、
  何の役にも立ちはしない、
  しかしとても美しかったのだ。

私を人の名で呼ぶな。
私は女王でない娼婦でない少女でない家政婦でない、
風によって転がるとしても、
人の
[次のページ]
戻る   Point(24)