私は石である。/佐々宝砂
腰のものを赤く染めて鳥が鳴く。
うぶめ、と呼ばれる鳥である。
産の穢れに死んだ女は鳥となる。
ほう、と鳴くが聞こえるか。
生まぬとしても女は女と男は言う。
うぶめの悲しみを知らぬは幸福と男は言う。
私は吐き気を覚えるがそれはもちろん悪阻でない。
河原で石を拾った日があった。
頁岩、石英、葡萄石、安山岩、かんらん石・・・
私たちは石の美しさに感嘆した。
石は何者も生まない、
何の役にも立ちはしない、
しかしとても美しかったのだ。
私を人の名で呼ぶな。
私は女王でない娼婦でない少女でない家政婦でない、
風によって転がるとしても、
人の
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