のこるもの/草野春心
 


  季節を歌うまい
  言葉でふちどらなくても
  それは綺麗だから



  心を歌うまい
  それはひとりでにあふれて
  ひとりでに歩むから



  問いかけや答えが
  しらん顔して持ち去った
  それを懐かしむのをやめよう



  優しさを語れなくても
  いつのときも傍らに
  柔らかな空白があって……
  それは無力ではなく
  僕らに見つけられるのを
  いつまでも待っている



  だから君を歌うまい
  ほかに何も無いとしても
  けして君を歌うまい



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