せかいをいきる/吉田ぐんじょう
 

一か月が
余りに速く過ぎ去るような気がして
どうしようもない
服を着替える間もなく
あっという間に秋である
外ではまるで軍隊のように
流行なのか
同じ型の服を身につけた女子が
勇ましく砂煙をあげて歩いてゆく
夏服のままでいるわたしは
とりあえず4Bの鉛筆を尖らせて
カレンダーに日にちを書き入れた

一か月を百日にすることとしたのだ

書き終えると安心した
暑さも戻ってきたように思う
冷凍庫からパピコを出して
かじりながら空を見上げた
まるで動脈を一気に切り裂いたみたいな
痛いほど真っ赤な夕暮れだ

わたしの
がらんどうの胸郭で
じんじんじんじん
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