愛読者、書/きりえしふみ
 
かせようと

 『好き』を なぞった
 嘘付きになるものと 全く別のものとは言い難い 同じ唇で

 指先、さえもが 互いを互い、と
 認識出来ない 感知出来ない
 隔てられた場所で 僕ら
 地球の裏側と表 昼と夜とに隔てられて
 そのまま 僕ら
 互いに互いの名を呼んでみた
 恋人、と
 名付けてみた
 (ホントの名前も知らないような僕ら だったから)

 唇に唇をあてがうように
 太陽を前に深く頭を 地面に垂れるような
 そのような 敬虔な心持ちで
 僕らは互いに 視線を互いの紙面へ……

 (c) shifumi kirye 2008/09/28
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