さかさまの都会/Rin K
 



ビルは氷柱(つらら)のようであって
交差点に、滴る微笑の鋭角が
夜はひときわ映える

空は無限の海にはあらず
月のマンホールに、僕らは吐き捨てる
ばらけた感情語

それを生み出す心の砂で
舌の上はいつも乾いている。
足りないというものだけで
さかさまはいつも満たされている。


ガラクタはシュン、と音をたてて
マンホールに吸い込まれ、吸い込まれ
ただ深深と世界の反転を待つ。
降り注ぐのか
滴る、微笑の鋭角のごと

死んだエンジンを胸に
月のマンホールに向かう
オイルまみれのかけらたちを
今日も吐き捨てるため





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