白い鍵/渡邉建志
 
放り投げる。
風船にふわふわ
浮かびながら
プーは
歌う、
 
 つきがでた
 つきがでた
 細くて青くて
 するどいつきだ
 ぼくは
 そのうえに
 精液を垂らした
 そしたら

 割れた
 こなごなに

 からだからは
 もう
 何も 
 出てこない
 精液の一滴たりとも
 

ぼくは手元に渡ったプーを
ぎゅっと抱きしめる。

あの人へと続く白い鍵。
赤い雪が降る夜に、
ぼくはまた、
おまえを空へと投げ上げる。




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