真夜中にダンクシュート/木屋 亞万
 
説書でしかバスケを知らないモヤシ教師だったので
部活はすぐに崩壊

バスケがしたい
ドリブルをして
パスをつないで
全力で止めに来る敵を交わして
シュート。
それさえできるならば、筋トレでも掃除でも付随するものも我慢できるのに
苦しみもないかわりに、青い心が渇望する情熱の類の一切を得られなかった

走りたかった、叫びたかった、ボールを操りたかった、人が恋しかった
学校終わりの4時過ぎに通りがかった街の外れ
ラブとカプセルの隙間に青春があった
学生鞄を放り投げ
上着を脱ぎ捨てて
カッターシャツの袖をまくり
参戦した

ドリブルの腰まで低いサラリーマン
シュート
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