ベランダから見た空/かいぶつ
 
駅から徒歩9分の帰り道を
僕はネクタイを弛めて歩く
商店街は今日もにぎやかで
電柱に括られたスピーカーから
童謡なんかが流れている

人が通りすがりに上を見た
僕もつられて空を見上げる
天気予報は参考程度に見るもんだ
「雨がふるぞ」
とおじさんは楽しそう

レジ袋を提げた人々は
生活臭のする急ぎ足と早口で
緊急事態にあたふた
僕も傘など持ってやしない

家まであと500m
着くまでには間に合うだろうと
たかをくくっていたが
肩から胸にかけてが
不自然に濡れ始め
通り雨でなんかすまさないと
雨は意地を張って加速していった

パチンコ玉をこぼしたような
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