秋の夏の雨/たちばなまこと
夏の雨が帰ってきた日
電車の行き交う河川敷で
嵐が運んできた枝で
薪には困らないなあ…って
ぼんやり過ぎ行く時間に蓋をして
現状のあまりのかなしさに
涙の雨も降らなかった日
写真にはやぎにしがみつくるいと
るいをおさえて無理にカメラ目線の私と
そして彼の
すがた
雨はいつもやさしくて
元気だった? っていつも
瞳にきらきら星を瞬かせている
雨の手紙
お祭りのにおいをはこぶ
今年もやぎがやってきたよ って
やわらかい指で描かれた絵
シルクの風がブラウスをすり抜けてゆく
夕暮れの駐輪場で
雨の手紙 燃える空に捧げた
灯るほのおには彼の詩が
あぶり
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