秋の夏の雨/たちばなまこと
 
夏の雨が帰ってきた日
電車の行き交う河川敷で
嵐が運んできた枝で
薪には困らないなあ…って
ぼんやり過ぎ行く時間に蓋をして
現状のあまりのかなしさに
涙の雨も降らなかった日
写真にはやぎにしがみつくるいと
るいをおさえて無理にカメラ目線の私と
そして彼の
すがた

雨はいつもやさしくて
元気だった? っていつも
瞳にきらきら星を瞬かせている

雨の手紙
お祭りのにおいをはこぶ
今年もやぎがやってきたよ って
やわらかい指で描かれた絵

シルクの風がブラウスをすり抜けてゆく
夕暮れの駐輪場で
雨の手紙 燃える空に捧げた
灯るほのおには彼の詩が
あぶり
[次のページ]
戻る   Point(12)