夜明け/草野春心
 



  世紀末が、
  遠すぎるなら、
  自分の手で。



  揺れている、部屋。
  揺れている、ドア。
  揺れている、窓枠。
  揺れている、天井。
  揺れている、椅子。
  揺れている。



  次の世紀末は、
  ちょっと遠すぎるから、
  僕は自分の手で。



  嵐の夜。台所で僕が、
  研ぐナイフ。ラジオのノイズ、
  雨粒、雨音。血潮、ほとばしるように。
  弾けないギターを、鉄槌にして僕は、
  壊してまわる(裁いてまわる)。テレビを、
  本棚を、ベッドを……



  (「これが人生か!
   
[次のページ]
戻る   Point(1)