季節トリガー/フミタケ
 
朝もやのむこう
沈む
直線の街
往かせてしまおう
数字にまみれる日々
眠そうな
新聞欄
凍りついた
積乱雲
隠し持った
意思は
幼い痛み

そっと
目を閉じ
透明になろうよ
過ぎ去った日々は
夢の
水たまり
そっと
息を吸い
新しくはじめよう
双子のイヌが
こっちを見てる

ねぇ
僕は声に出さずに呼びかけた
遠くで風が
なにかをうたっている
誰にも聞こえないような声で
季節に咲く花のように
誰かの人生の経過が
冷たいノートに
書き込まれていく

黒いまぶたのうら
消えない残像
汗ばんだシャツの匂い
さらう夕立
つれづれの
[次のページ]
戻る   Point(5)