赤い屋根の多い町/かいぶつ
 

見たことのない珍しい缶ジュースを買って
道路の上に地図を広げた

ブロロロロ・・。
とバスがUターンしてゆく音が
遠ざかって行く
もう戻ることはないのだからと
振り返りもせず
調子っぱずれの歌をうたった

赤い屋根の多い町には
誰かを待ち続ける人が
たくさん暮らしている
これは僕のおじいさんが教えてくれた
ふたりだけの秘密

そろそろ歩きださなきゃいけない
大きな地図を広げて
本当は何の役にも立たない
大きくて真っ白な地図を
両手いっぱいに広げて

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