シーサイドライナー/松本 卓也
ハウステンボス駅に続く
長いレンガ道は凸凹で
今朝踏み入った水溜りを
たっぷり吸い上げた靴は
とてもとても重く感じた
時々涼しげな
大半は生温い風が
二つしかないホームを
せわしく駆け巡っている
子供の笑い声が響き
僕は煙草に溜息を隠す
きっと誰もが思うのだろう
まだ今日が終わらないで欲しいと
想い出をなぞる絵日記は
寂寥で終わるのが世の常
彩るのが楽しみであっても
塗れるのが哀しみであっても
夕暮れが今日を道連れに
帳を少しずつ下ろそうとしている
夏はいつ終わるのだろうと呟く
草臥れた微かな独り言も
夏はまだ続くのかなと笑う
無邪気な問いかけも
高らかなベルが掻き消して
電車はただ飲み込んで
誰もを家に送るのだろう
努めて無愛想に
出来るだけ小気味よく
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