グランツ/嘉村奈緒
 
もう、ずっと、葬列のターンだ
山裾から行儀よく
山頂までの道のりを進む
お前たちの名前は
アダルベロ
だったり
クロデガンク
だったり
ジグラム
だったりする
高貴な熊や
有名な健脚や
勝利のからすであるお前たちは
羊を捧げたり
地に伏したり
衣を纏ったりと
てんでばらばらに悲しみに明け暮れるので
次から次へと葬列が伝染していくのだ
もう何度確かめたかわからない
白くて長い列の中に
ハインリヒだけがいなくて
てんでばらばらなくせに
ずっとハインリヒ、
って口にするものだから
きっとハインリヒの葬列は
山頂があるのかどうかもおぼつかないんだよ
愛さ
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