おまえに/木立 悟
 





矢は左目から入り咽に止まる
わたしは振り返りおまえを見る
今までもこれからも
ただおまえのそのままを見る


はざまにどれだけ
どれだけはざまに挿し入れようか
おまえがおまえを晒す振動
おまえが忌避する反復を


金属 種火 金属 金属
金属 金属 金属 金属
おまえに言いたくも言われたくもないから
わたしはおまえから離れたのだから


降るものの芯に燃えさかるもの
おまえはそれを見ないだろう
おまえはそれを見捨てるだろう
おまえはそれに焼かれるだろう


金属が溶け
金属に囲まれた絵を流れる
絵のなかに響いていた音が
おまえに到かぬまま燃えてゆく


虚ろに名前がないように
おまえにもやはり名前はない
針の穴ほどの自由から
焼けてゆく自身を見つめている


















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