とどく/かんな
海にいくと思い出す
きっと記憶や思考は
脳になんかなくて
波の狭間でいつも揺れ動いているに
違いないのだ
幼い頃幼稚園で
真っ白な画用紙が配られると
クレヨンで
好きなものを好きなだけ
描いたものだった
それがいたずらがきであれ
それが表現であれ
それが自由の象徴であれ
なんでもよかった
よかったのだ
最近は泣く
泣く理由ばかり探して
捜して迷子になったり
真っ白なパソコン画面に
何を打ち込んでよいのか
わからないでいる
それは迷いです
とかそれは悲しみです
とかそれは寂しさです
といった風に
誰かが名前をつけてくれるなら
いっそ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)