ネバーランド/つぐこ
 
 僕は、君の名前を思い出すことができない。
だから、名前を勝手につけて話をしようと思う、君の名前はノア。
美しい子供だったということは覚えている、ピタゴラスの定理のような美しさを持つ子供だった、
なぜ、過去形にしたかというと、
ノアはもう、子供ではないから。

ノアは、歪んだ正義を覚えた。
美しい子供の面影なんて、微塵もなかった、
大人になるってことは、こういうことさ、と、
ピーターパンは笑った。

いつか、ノアにプレゼントしたぬいぐるみを覚えているかい。
そう、あのクリーム色の熊のぬいぐるみ、
ノアは笑顔一つ見せずに、そのぬいぐるみに顔を埋めていた、
ノアの最大限の嬉
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