土が痩せていた/短角牛
 
直径十センチメートルのポットに

土をいれ

湿らせ

種を播いた

四日もすると芽が出て

青々と若々しい双子葉が

種殻を携えて立ち上がる

五日もすると本葉が生えだし

大きくなる 大きくなる

一ヶ月で膝丈にやや満たぬ程に成長し

そして土が痩せていた

直径十センチメートルのポットに

小さな地球に張られた根は食らっていた

土を食らっていた

アスファルトの下には土が満ちていて

それを糧とする植物の侵略に対しての

文字通りの蓋こそが道の役割だとする

偉い人の言葉はあながち嘘ではなく

それこそ

どっこい僕らは地球から隠れていたのだ。

ポットの痩せた土は

機械的な土だから危なくはないのだ。

さてさて立秋です。
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