Freedom Song /服部 剛
満たされることの無い
空っぽの杯を手にして
差し伸べるみたいに
過ぎた日の思い出なんぞは
どんどん丸めた紙にして
ぽいっとゴミ箱に
捨てちゃいな
雨を凌げぬ
ビニール傘は
二つに折って
捨てちゃいな
幸せを追いかけるうちは
いつまでもたっても
今日の舞台に
立てやしない
幸せよりもっと早く、走らなきゃ
( 風の唄が、聴こえる )
雨にずぶ濡れたまま、走らなきゃ
( 風の言葉が、視える )
心を装ってた全ての服を剥ぎ取って、走らなきゃ
( 風の顔が、微笑む )
やがて雲間から射す太陽が照らし出す、世界の大地
目の前にまっすぐ伸びる
雨上がりの渇いた一本道を、走る。
他の誰でも無い
愚鈍なる
この裸足(あし)で
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