少年Aの話/緋月 衣瑠香
行動している
誰かを傷付けそうになったらすかさず自身を身代わりにする
どんなに傷がついたって、その人の前では大丈夫のひとことを貫く
そのくせ裏では、痛い痛いと誰にも気付かれないように悲鳴上げる
嘘つくのは特技だよ
ぽつりと言ったその言葉はあのときのまま空間を漂っている
「その言葉、嘘だよね?」
そんなことを言ったら、きっと少年は絶句するだろう
いとも簡単に想像できる
少年Aは今日も何気なく日常を過ごす
きっと明日も今日と一緒
きっとそこの少年も。
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