海とカップラーメン/芥生
海はとおい。
ただ「海を見る」
それだけを目的にして目指すには。
「海を見る」それだけを目的に
自転車をこいだことがある。
四時間もかかった!
塩っからい汗にまみれた8月。
ちかづくにつれ潮騒と肩までひたる海の
においが耳朶をうつ。
海はザアザアと、ぼくをむかえてくれた。
それでも海にいったのには、ベツの理由があったきがする。
「海に辿り着いたことは嬉しかったけど、海それ自体が嬉しかったわけじゃない」
だから
ただ、「海を見る」それだけで行くには
「海は誰からも遠い」
カップラーメンにお湯を入れて待つ間、そんなことを考えていた
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