柿捨て/ちりめんチャコ
 
新井さんちの広い庭で
のびのびと広げた枝から
ぼたぼた落ちる柿
青いときも
赤いときも

ぼたぼたぼたぼた
旅の恥は柿捨て

ぴちぴちしてたからって
得したことなんか何も無かった
たくさんの人に好いてもらえなかった
うろうろしてみたけど
はかばかしくなかった
この世にたったふたりの人たちにさえ
なんだかついでのもののように
とりあえずってな感じで

ぼたぼたぼたぼた
だからなんだっての
忘れたいことばかり
きれいさっぱり捨ててやるとばかりに振り落として
すっかり軽くなって
なんのためにこんなとこに立ってるものやら
どこから来たの私
これから何するの私
ふん
思い悩んでみせてなんになる

ぼたぼたぼたぼた
地面を汚して
ははん
さては
これ
堆肥になるよ
来年の

いや
そんなこともどうでもいい
柿捨て
柿捨て



アーアー

喰ってくれるカラスもあるさ


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