どろっぷす/ちりめんチャコ
変わり果てたと言うけれど
仰向けのまま
目を閉じたそれは
はて
こんなにも鼻のてっぺんだけがかつての位置を保って
気高く見えるのは
胸が苦しいというよりも
ああ、この鼻の先から
もうあのひとは向こうの高みへスッといってしまったのだな
と
ひとしずく
ふたしずく
こんなにも若く美しい身空で
喪主などを務めるひとは
ときどき暗い淵に引き込まれて
声を震わせているけれど
たぶん中身はふあふあと彷徨ってしまって
慌しく途切れることなく続く儀式のあいだ
ここにとどまってさえいられない
そうだ夢なのだ
こんなにも花で埋められた階段
揺れるろうそくの火
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