こいさんや/捨て彦
 

こいさんが
こない ていねいに
ものしゃべれるようなった ゆうことが
わたしは ほんま うれしいわ
なぁ こいさん



***



せやな。
あんたは
なんでも よう わかっとるわ
いちいち わたしが ゆわんでもええわな。

わいとは
生まれも育ちも ちゃうもんな。
そりゃそうや
こいさんは ひとりで なんでも よう出来よる。

となりの とし坊 の風船が
庭の木ぃに 引っかかったときも
こいさんは チェーンソーで
枝を切り落として 取ってあげた。

わしが暑い暑いゆうてたら
涼しいやろ ゆうて
チェーンソー回して
刃の風を

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