祈り−「存在の彼方へ」を読んでみる3(2)/もぐもぐ
 
のである。だがそれらの感情はあくまでその個人に付きまとう。人は他者の視線を感じながら生きざるを得ない存在なのである。

レヴィナスはそうした諸感情に「他者」の手掛かりを見出す。そしてそこに正当な意味付けを与えようとする。「他者」についての感情を、「競争」や「利害」の観点から単に否定されるべきものとしてではなく、人生において受け入れられるべきあるもの、正当な独自の意味を持つものとして位置付けようとする。「万人の万人に対する闘争」から発生した諸命題の何れとも根底的に異なる場所から、「別の仕方で」、生を大きく肯定しようとするのである。


「他者」をどのように受け入れるか。私という個人は、「感
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