断面はあたかも泣いているかのように/KETIPA
 
た金属に無為の工具があてがわれる
それは音もなく ややためらいがちに
ひとすじの断面をあかく あかく 裂く
破砕された重金属の不在に あかく
微粒子があたかも泣いているように
風にまぎれて泣いているように
はらはらと かつうずうずと
断面に同情し同調され
そんなことはないのに それは破滅では最初からないのに
うずうずとじくじくと あかく 泣いた
電球にてらされていた微粒子が
さっきまでは金属だった微粒子が
切断された そう破砕された断面から
はらはらと
分解された電球の不在に泣いているように

それは破滅では最初からないのに
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