ずっと変わらない/唐草フウ
 

その夕方は
台所のテーブルに
向かい合って座り
母は
きんぴらにするために、ごぼうを
笹がきに削いでいた
わたしは、その灰汁で黒くなった指の先、手を
目の中に映し撮りながら
小窓から そよぐ風を
かんじて、みつめる


「えんぴつけずりみたいだねぇ」
「そうだねぇ」
「むかしはキレーイに研ぐのがすきで」
「赤と青が半分ずつの色鉛筆がほしくて、でもねだれなかったなぁ」

なんてなつかしい話をして
いつのまにか
削ぎおえた母と
しりとりをすることになった

しりとりは
わたしが小さい時からの
母との言葉のあやとり
ねむれないとき
いっしょに歩いて
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