シカゴの不動明王/吉岡ペペロ
 
シカゴでは仕事の合間をつくって

かならずミュージアムにゆくようにしている

そこにはお気に入りの

不動明王がいてくれるからだ

こぶりの黒っぽいそれは

祈りを込めて眺めたところで

僕の胸になぞ座ってはくれない

僕はそこを立ち去るとき

じぶんの背中のそれにも

この不動明王を見せてあげることにしている

こころのひとつひとつが

長続きしない僕の情熱を

あぶりだしてゆくような気がする


振り返らない

僕はシカゴの不動明王にさよならする
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