その人は/
信天翁
築三十余年の重い扉をあけて
その人は折りたたみ杖をシンボルに
プロムナードへの散策にでた
弱った足腰膝小僧に発破をかけ
傾き加減の太陽と
青女月の風を慕って
だが たちまち
その人は気づくこととなった
路肩の枯草に想いが散って
はるかかなたにゆらぐ
荘厳なパビリオンを
もはや望遠して歩めないということ
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