タマムシ/タマムシ
 
君へ手紙を書く

タマムシから君へ
君は人で、わたしは虫だから
君にとってわたしは虫以上でも以下でもない
けれどわたしのからだは虫とは思えないほどきれいだって
君は知ってしまったから、わたしを大切にする
わたしがもしもタマムシでなくて
蛾のようなすがただったら
愛してくれましたか?

そんな手紙を書く

タマムシから君へ
君は詩で言葉を語ろうとするわたしを嫌う
もっとわかりやすいように言ってくれといらいらする
君にとって言葉が、わかりやすいほど鮮明に残るのなら
わたしはきっと詩を書いたりしない
だって、わたしタマムシだから
お互いをわかりあうには
言葉だけでは足りない

そんな手紙を書いた

タマムシから君へ
けれど君からの返事がこない
君に書いた手紙の終わりには、タマムシよりって

わたしタマムシだから
それ以上でも以下でもない

そんなわたしを
ただ、知ってほしかっただけなのに
  
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