交感する秋の声紋/
佐野権太
たまゆらぐ
あきのひとみで
草のなかにかくれた
君をきいている
何かにすがりつきたいふうな君は
細い、ほそい線になって
なまみの月を仰ぎ
永いときを抱え
ふるえる
――りりり、りりりり
――幾千もの光の破線
深められてゆく僕は
静謐な光の底にかさなり
おなじ温かさをもって
君の空白を理解する
――秋の端に
――かじかむ指の
――美(かな)しさよ
そうして
ぼくらは
なきながら
きせつをこえてゆく
――りり、
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