泡沫人 /望月 ゆき
 
なにかを知るはずもないのに
海はそこにいて
呼んでいる
なにかを知るはずもないので
海はいつもそこで
呼んでいる

誰を

誰を

誰か を

きみとはどこから
どんなふうにつながってるの

白く白い
ただ白いだけの粉
の、きみは
色のない風に
足を手を額を持って行かれた
それきり
それきり

海はぐるりとつながってる、って
小さな頃から知っていたし
今も知ってる
なのにきみに遭えないでいるよ
何周したかなんて
きかないで

もっと透明をくれないか
もっともっと 
透明を

透明 を


プランクトンの海では
叫んでも届
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