黒鷹 もう飛び去ってください/里欣
 
に届く
無限に織りまぜたほめ殺し
さびしくて古臭くて響かせた孤独の虚無
真価が入れないほど美化された想像
残りが
何かの無辜の心情と現実のすれ違い
だから 黒鷹 もう飛び去ってください

新たな口実の快適は もういらない
磁力の無駄遣いの聖壇にまじめなまるを
強風と荒波がくれた肉体の吐き気で
この最高の偽品を嘔吐してみせる
だから 黒鷹 もう飛び去ってください

冷酷な骨に教えた とんだ眩惑で
まただれかが血を流さないように
祈るしかできない
この無力で惰怠で薄弱な魂が
もう一度
白鷺みたいに高く空に向かい
岩石のように魂を守ってみる
だから 黒鷹 もう飛び去ってください

(『現代詩手帖』2008年2月号選外佳作)


戻る   Point(3)