ピアノ/草野春心
ピアノの雨を浴びて
君は待っている
冬の駅を急ぐ、
冬の人々。
冬の空気を吸いこんで、
冬の顔で笑っている。
ピアノの雨を浴びて
君は待っている
君のための命が、
君のために集める、
君のための言葉、
君のための心。
ピアノの雨を浴びて
君は待っている
たった一枚の壁は、
たった一枚の想像。
たった一枚の透明な、
たった一枚の透明な……
ピアノが鳴っている
……真っ暗な僕の部屋で
僕のための言葉、
僕のための心、
僕のための心、
僕のための心……
そこに、
君が待っている。
いつまでも。
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