立番/草野大悟
交差点に立ちながら考えた
なぜ俺はここにいるのだろう
紺色の制服の中のそのまた中は
少しも変わっていないのに
化石となって考えた
風がひゅーひゅーなっていた
女子高生が華やかに通り過ぎた
つまり こうだ
いつだって仕事はナイフで
中の中を削り取るのだ
削られ削られして
外形だけが張り子となるのだ
やはり そうだ
見えないナタは
かたときも休まず
やせ細った人を切断するのだ
そこには蝶の入り込む余地など無いのだ
そして こうだ
叶えられない多くの想いが渦巻いて
オートバイは鳥になるのだ
夕暮れの立番に
俺の魚たちが泳いでゆく
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