終わりに走っていく感覚。/青木龍一郎
 


「なんか味があんまりしないの。
 でも少し甘いの。
 ちょっと口に入れるだけで心臓が飛び出そうになるの」

と言った。
僕は優ちゃんをぶん殴って掃除用具箱に監禁した。
先生に見つかり、僕は御仕置きで、ライターで両手の親指の爪を燃やされた。
爪が苦しそうにゆらゆらしていた。
それは終わりに走っていく感覚だった。




僕達が算数の授業中、一斉に教室を飛び出して
小さく短い足で階段を
2階
3階
4階
と上っていった。
先頭の僕が屋上への窓を思い切り開けて
僕らは屋上へ飛び出した。
僕はつまらなそうに柵に寄りかかった。


屋上から見た町は汚い海のようだった。
黒っぽい波がちゃぷちゃぷと揺れていて
たくさんのゴミが浮かんでいた。



このとき、僕はこの町にタワーを作ろうと思った。
みんなで東京タワーより高いタワーを作ろうと思った。
そこから見た町は汚い海なんかじゃない。



いつかタワーを立てたいね。
終わりに走っていく感覚。











なんか、今日、空気痛くない?
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