海面上昇5/rabbitfighter
 
人の生を、単純な線にしてみる
すべての線が、平行に走り、交わることはない
それが孤独
すべての人が、もって生まれたもの
人は、人として生まれた
幾千の星が持つ固有のベクトルに似て、
すべての線は各々の輝きを放つ
途切れてしまった線が
まだ伸び続けている僕の線と
併走していた、かけがえのない距離
伸び続ける僕の線と、あなたたちの線
偶然とよんでもいいし、必然とよんでもいいし、
とにかく奇跡だ

いつごろからか、線の記された紙の一番上には、
数字が書き込まれている

8,6とか、8,9とか、9,11なんていう、
数字が。

たくさんの線が同時に切れて、その後には
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