浮かれ女(め)/星月冬灯
 
あんたを

 朝まで抱き締めていてあげる

 
 だからこの浮かれ女の

 胸でお眠りよ


 今だけは震えずに

 安らかにただお眠りよ

 安心して私の鼓動を

 子守唄代わりにお眠りよ


 私はこの世を愛おしむ

 浮かれ女

 
 いつだって恋して

 抱かれて

 傷ついて


 けれどいいの

 それが浮かれ女の宿命(さだめ)


 あんたは傷ついた羽が

 治ったら

 すぐに去って行ってしまう

 鳥だけど


 私はただ待っているだけの

 浮かれ女だけど


 また疲れたら「此処」に

 おいでよ


 この浮かれ女が

 あんたをいつでも

 包んであげるからさ


 「此処」はあんたの

 還る場所(ところ)さ


 
   浮かれ女〜遊女のこと。


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