黒猫/長月 猫
 
細長い三日月の船に乗り

私は夜を漕ぐ

辺りには小さな島大きな島

それは人々の儚き夢

その一つ一つに明日が詰まっている

私の明日は何処だろう

闇色に染まってた私の躰

虐げられた私の躰

石を投げられた

罵声を浴びせられた

…………

そうか……

私は死んだんだな

だから私の島もないんだ

だから私は此処にいるんだ

だが私は最後にあの人のために闘った

私を愛し

私が愛したあの人のために……

目の前にあるぽっかりと空いた空間

此処に私の島があったのだろう

何故かまわりがぼやけてきた

そして躰が……心が温かくなってきた

次第に微睡みが私を支配していく

目を閉じた

そうすれば私は此処から消えることが出来る

確固たる根拠は何もない

だがそう感じた

……

そして消えた

私は

私を愛し

私が愛したあの人の元へと
戻る   Point(0)