/猫のひたい撫でるたま子
なかったことにしてしまおう、すべて
昨日のことも、あしたの顔も
忘れてしまえばなかったことと同じ
忘れてしまえば自由になる
はじめに戻って、無垢なつもりで
なくなってしまったなら、泣きもしない
鈍感な壁が厚くなっていく
なにが刺さっても気づかずいられる
なんて便利な私の体
なんにも見えない私の目
目に膜が張っている
すべてが見えてくる、世界がクリアーになる
やさしく言葉をかけないことの美しさと、感じずに生きることを選んだ気持ちが重なる
先の長いフォークが、柔らかな私の頭を刺してゆく、ゆっくりと確実に
音楽が
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