悪意の在り処/岡部淳太郎
 
とが求められているように思えてならないのだ。たとえばいま書店の詩のコーナーでもっとも売れていると言われる、相田みつをや加島祥造の『求めない』などのつまらなさはそこにある。そこには人間の善意ばかり信じすぎて、その正反対にある悪意のことをまるで考えていない姿勢が見てとれるのだ。また、個人的には谷川俊太郎の一連の詩(特に集英社から出版されるような一般の読者向けのもの)にも同じような物足りなさを感じてしまう。だからこそこれらの詩集は詩の中でも例外的に売れるものとなっているのだろうし、入口としてそういうものが必要だというのはわかるものの、そこで立ち止まって詩の奥深い世界へ分け入ってみようとしない人が多いらし
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