アゲート/月音
手紙 のようなものを
書こうと おもう
声に してしまうと
儚く 風になってしまうようで
私が
今ここに いることや
この時代に 生きることや
出会った すべての人や
悔しくて 泣いたことや
闇の中で 惑ったことや
安らぎを抱いて 眠ったことや
神様に 愛されることや
人は
生れ落ちた その時から
長い 長い 遺言を綴るようなものなのだと
今 気付く
蒼いメノウ板を 月光にかざす
それは 宇宙
それは 星空
それは 地球
それは 植物の年輪
そして
それは わたくしの 骨
大地にかえる までの あいだ
手紙の ようなものを
書こうと おもう
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