雨にさらされる光のない世界だけが/ホロウ・シカエルボク
 









懐かしい雨の音がする、俺はとっくに不具合で、伸ばした指先は必ず何処にも触れられないでいるというていたらく、唾液を呑み込むことにすら痛みが走る、故障だ、故障だ、すべては故障してしまった、砂交じりの血を吐いて呪いを広めよう、俺の寝床は薄暗い所、俺の祈りは真夜中の死角へ向けて…犬歯が唇を突き破るほどの憎しみが一段落ついた後はうんざりするほど血を流すより他に道はない、激しい雨の音がする、激しい雨の音がするんだ、満足なんて求めた時点でお伽噺になっちまってた、俺が様々に吐き出した体液の無様な渇き具合、綺麗な舌で跡形もなくなるほど舐めとってはもらえないかい、女神よ、女神よ―求
[次のページ]
戻る   Point(3)