DOU-SHI/nonya
 
胃の潰瘍痕が疼くから
てらてら笑っているからといって
決して許してるわけじゃない

心のガス溜りは狭いみたいだから
定期的に抜いてやらないと
正しくない位置から噴火してしまう

仕方なしに今夜も吠える
あたりを気にしながら吠える
少しずつ小出しにしながら吠える



<握る>

人の手の
温もりは
人の心の
温度を伝えない

いくつもの
裏切りが
手のひらを
すり抜けた

わかっていながら
温もりを
握らずにいられない

生きている証に
すがりつくように
手を握る



<曲げる>

ため息をついて
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