しつれん。/AKiHiCo
風が吹けば花弁-はな-が散る
あの人へ寄せた思いを載せて
ちらちら舞ってその名を虚空に描く
叶わないと判っていても
愛さずには要られないから
静かに内側で熱を
何て美しい散り行く光景-すがた-
落ちる陽は海を愛し重なる
紫の尾を引いて同化する幻想
流れる雲に紅が射したら夜が来る
闇を纏った満月が部屋の
思い出を転がした床を蒼白く照らす
砕けた思いはいつか溶けて
この痛みも無くなるから
今はただ涙を流しても叱らないで
沁みる月灯りだけが知っている
僕は傷付くだけの人形じゃ、
散らかった部屋に棲む獣が
この体躯を食むのを拒まない
降り注ぐ痛みが愛しくて
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