秋の夜に眠る/doon
 
 私が知りたいのは
 この体に感じる空気
 命の生体反応が何処であるかである

 個々の生命体に同一の感覚器官があり
 決してそこにいる人間が機械でないことと知る
 生まれて一度も
 他人の肌が感じる暑さ寒さを知らない

 こうして考える秋の日
 鈴虫が心地よく鳴く夜
 聞こえるというより聞いてしまうような日には
 生きているということを忘れ
 さらには死んでいるということも忘れ
 夢現半ば
 侵入してくる夜風を吸い込み
 はじめて私は父母から解かれて
 真っ黒な孤独となる

 人はいつ
 どんな感覚でその生涯を終えるのだろう?
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